東田直樹著「自閉症の僕が跳びはねる理由」

記事 ユミコ

「なぜ、この子がこういう行動をとるのか。本人の気持ちが理解できたらどんなにいいだろう。」

私が息子に対してこんな風に思ったことは多々あります。

この本は重度の自閉症である東田直樹さんが13歳の時に自分の心の声を書いた本です。

直樹さんは、人との会話が困難なのですがパソコンや文字盤を使って、コミュニケーションを図っています。

もくじの中には

・いつも同じことばかり尋ねるのはなぜですか?・小さい子に使うような言葉遣いのほうがわかりやすいですか?・自閉症の人はどうして耳をふさぐのですか、うるさいときにふさぐのですか?

などという質問がならんでいて、直樹さんはその質問にひとつひとつに丁寧に答えているのですが行動や言動が、彼らの本意を表しているだけではなかったんだ、私は先入観に囚われ、彼らのことを理解していなかったんだと気が付き、はっとさせられます。

また、彼がとても自然を愛し、自然と戯れている時は本来の自分の姿であるような気持ちであるという記述にとても美しいものを感じました。

特に私が印象に残った一文を紹介します。

13.みんなといるよりひとりが好きなのですか?

「いいのよ、ひとりが好きなんだから」僕たちはこの言葉を何度聞いたことでしょう。人として生まれてきたのに、ひとりぼっちが好きな人がいるなんて信じられません。僕たちは気にしているのです。自分のせいで他人に迷惑をかけていないか、いやな気持ちにさせていないか(中略)僕たちだって、みんなと一緒がいいのです。だけど、いつも上手くいかなくて気がついた時には、ひとりで過ごすことに慣れてしまいました。ひとりが好きと言われるたび、僕は仲間外れにされたような寂しい気持ちになります。

療育園で「この子たちは表出が全てではありません。わかっていてもわかってると表現できないのです。それで低く見られてしまう。その苦しみを理解してあげてください」というお話を聞いたことがありました。

不可解に見える行動にも理由があるし、行動さえも、本人の意図していることなのかどうかわからない。

繰り返される毎日の中で、自分に余裕がなくなってしまうとおおらかな気持ちでいられることばかりではありませんが息子たちの良き理解者でありたいと、この本を読んでそう思いました。

この本は世界のたくさんの国で翻訳、出版されています。

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