記事:しょうこ
JRや私鉄・地下鉄の各路線では、電車のドアに車両とドアの位置が書かれた点字シールが貼ってあります。
皆さんも目にしたことがあるかと思いますが、実はこの点字シールの位置が鉄道会社によって異なっていることを知っていますか?
豊島区盲人福祉協会が点字シールの高さの調査を行ったところ、その高低差は28.5㎝もあったそうです。
最も高い場所に点字シールがあったのは、JR中央線で165.5㎝、最も低い場所は東京メトロ有楽町線、東武東上線で137.0㎝となっていました。
なぜ約30㎝もの差が生まれるのでしょうか。
それは、国土交通省が点字シールの高さについて「140~160㎝程度」と指針に幅を持たせていることが背景にあるとみられています。実際には約30㎝の高低差があっても、各鉄道各社側はおおむね指針に従った配置をしていることになります。
さらに、同じ路線でも乗り入れがある場合は、車両ごとに高さが異なるケースもあります。東急線、西武線、東武線が乗り入れる東京メトロ有楽町線では、東急線とメトロ有楽町線との車両で7㎝、京王線が乗り入れている都営新宿線では京王線車両と都営線車両で13㎝もの差があったそうです。
また、点字シールの違いは位置だけでなくデザインにも及んでいます。多くは長方形となっていますが、中には円形の点字シールもあるようです。大きさも縦3.5~7.5㎝、横4.2~8㎝と様々。
豊島区盲人福祉協会では、「視覚障がい者にとっては、3㎝の高さの違いでもシールが探せないことがある。車両内の位置が分からなければ降りたい地点に降りられず、階段や改札にもたどり着きにくくなり、ホームで迷えば転落事故にもつながりかねない。シールの位置やデザインを標準化してほしい。」と訴えているそうです。
私も実際によく利用する、JR京浜東北線と東京メトロ丸の内線の点字シールを確認しましたが、JR京浜東北線では私の目線の上、東京メトロ丸の内線では目線の下と、約15㎝程度の差がありました。
(写真では少々わかりづらいですが。)今までも、電車のドアに点字シールがあることは認識していましたが、その位置を意識することはありませんでした。実際に確認し、こんなにも高さが違うんだと驚きましたし、これでは視覚障がい者の方は探しにくいだろうなと実感しました。
点字シールやホームにある点字ブロックなども、設置しているからそれで良いのではなく、実際に使用される方の使いやすさ、利便性を考え、本当に役立つものにしてもらいたいなと感じました。